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【MBA】投資プロフェッショナル

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今回は金融業界で約30年、

しかも競争が激しいアメリカで

投資最前線に立ち続けた

投資プロフェッショナルにインタビュー。

世界的に有名なJP Morganでは

Executive Directorまで務め上げた

にも関わらず、華々しいキャリアを捨てて、

末日聖徒イエス・キリスト教会

伝道部会長として3年間奉仕し、

現在は各地の伝道部会長をサポートする

責任を担っています。

 

投資プロフェッショナル 

永野 卓司

 

<学歴>

  • 慶応大学経済学部卒業

<勤務歴>

  • The Church of Jesus Christ of Latter-Day Saints: Area Mission Specialist
  • The Church of Jesus Christ of Latter-Day Saints: Mission President (Volunteer)
  • Millenium Partners: Portfolio Manager
  • JP Morgan: Exectuve Director
  • Caxton Associates LLC: Portfolio Manager
  • Bankers Trast Company: Managing Director

<専門>

ここから学べるMBAの原則

  • リーダーシップ(次世代リーダー論)

 

<結論>

謙虚な努力+親切=成功

 

<インタビュー>

ー自伝を書くとしたらタイトルは?

永野氏:「人生はなんとかなる! 」ですね。

 

妻が猫好きで、誕生日に

「人生はニャンとかなる!」

という猫の写真集を買ってくれたんです。

猫しか写っていないですが、見ていると

「なんとかなる!」と思えてくるから

不思議です。心配は尽きませんが、

「なんとかなるよね」っていう態度

でいけば大丈夫です。

 

「成功とは,失敗しないことではなく,

熱意を失うことなく失敗を繰り返す

ことである」と言われてきました。

電球の発明について,トーマス・エジソン

はこう言っています。

「わたしは1,000回失敗したのではない。

1,000のステップを経て

電球は発明されたのだ。」

チャールズ・F・ケタリングは失敗を

「成功への道を指し示す道しるべ」と

呼んでいます。失敗する度にそこから

知恵ある教訓を得て,つまずきの石を

踏み台に変えることができるよう

願っています。

(2018年5月総大会リン・G・ロビンズ)

 

人生、一筋縄ではなかなかいかないものです。

挫折を「無駄だった」と思ってしまうことも

あります。でも「なんとかなるよ!」と思って

努力を続けていれば、振り返ってみると

「あれがここで役にたった!」ということが

いっぱい出てきます。欲しいものが手に

入らないこともあるけれど、

必要なものは必ず与えられます。

 

座右の銘や好きな言葉は?

永野氏:わたしの愛読書であるモルモン書にある

 ”戒めを守れば地に栄える”という言葉です。

 

日本では、この世では苦しいことがあるけれど

来世では幸せになれるという思想があります。

他人から見ると恵まれない人生を送ったように

思える方々にとっては救いですし、正しいと

思います。

ただ、わたしは「正しいことをしていれば、

生きている間にも良いことがある。」

信じています。

わたしは金融関係で約30年間やってきました。

ウォール街というと

「ギスギス」

「ズルして人を出し抜く」

ようなイメージの人も多いかもしれません。

でも実はすごく成功している人は

親切な人が多いんです。

例えばブルース・コフナ―。

www.forbes.com

 

彼はハーバード大学で数学の博士号をとり

教えていましたが、収入は少なかったです。

あるとき原油の値動きを見て興味を持ち、

先物取引をすることにしました。

証拠金(担保)が無かったので、クレジット

カードのキャッシングで工面しました。

驚くべきことに、そのお金で相場を張り、

大儲けすることに成功しました。

自分にはその才能があることに気づき、

コモディティコープ(原油、金、麦などの

先物を取り扱う会社)に入ります。

その後、自分の会社を立ち上げ、いまでは

$5.3B(約5600億円)もの資産を所有

しています。

 

彼は大成功している人ですが、週に1回

わたしのようなポートフォリオマネージャー達

を集めて勉強会を開催してくれました。

彼は誰よりも知っている人のはずなのに、

みんなの意見を聞くんです。

自分が最初に意見を言うと他の人が

何も言えなくなってしまうので、

まずみんなにアイデアを出させます。

そして真剣に耳を傾けるんです。

おかしいと思ったアイデアがあれば、

考えさせる質問をします。

良いアイデアには惜しみなく

「これはおもしろい!」と言ってくれます。

「柔和」な人はどんな人からも学べると

言いますが、彼はまさに「柔和」な人です。

「成功」している人の中には変わった人も

いるけれど、「大成功」している人は必ず

人に敬意を抱いています。

彼の発想は、「自分はすべてのことを

知っているわけではない。だからこの人から

何か学べるかもしれない。」です。

そして何か学ぶことができればもっと

賢くなれると考えているんです。

彼と働き、実際に多くの利益を

あげてきましたが、その総額よりも

彼の姿勢から学んだことの方が

ずっと価値があると思います。

成功している人は必ず、人々に与え、

親切にし、学び続けています。

まさに戒めを守っているといえるでしょう。

 

ー思わず時間を忘れて夢中になるものは?

永野氏: サッカーとスキーですね(笑)。

あとは相場を見ることです。

なぜかというとマーケットは

必ずどこかでつながっていて、

世界で起きていることが

そのままあらわれるからです。

為替レートや金利の変化といった

お金の流れから世界の変化が見えるんです。

相場の仕事がきっかけで、

世界のニュースや歴史に夢中になりました。

 

ーミッションは何ですか?

永野氏: やっぱり「家族の幸せ」ですね。

 

最初は自分の家族から始まり、

段々と広げていくイメージです。

親友は家族と同様に大事にしています。

会社で働いているときはチームですね。

仕事の特性上、一人でもできますが、

助け合ったときの方が相乗効果が生まれて

より利益を生み出すことができます。

相手を思いやり、してほしいと思ったこと

をしてあげることが大切です。

金融業界の友人は、いろいろな銀行にいたり

するのでいつも有益な情報を教えてくれます。

そういう人脈もすごい大事です。

伝道部会長のときは、若い宣教師たち

みんなが家族でした。

その時々の自分の身近な人々を家族のように

大切にすることがミッションです。

 

ー成功に向けて取り組んできたことは?

永野氏: 投資の世界では良い日も悪い日も

ありますので、損をしたときにはその理由を

考え抜いてきました。そこから学ばないと、

すぐクビになりますからね(苦笑)。

相場の世界では物事は思うようにいきません。

オプション理論で言うと、半分は間違うわけ

です。その日が間違ったからって次の日

間違えるとは限らない。毎日間違っていれば

何か本質を見落としているのでしょう。

正しくても、ある日は間違いになることも

あります。最終的に正しい方向に行けば、

そこで初めて正しかったということが

できるわけです。

失敗をたくさん味わいながら、

自分を吟味し続けることは結構つらいです。

しかし自分の間違いを認め、全責任を

負わなければなりません。

謙遜にならざるを得ない場面もありましたが、

30年やってきて「なんとかなったな。」

という感じです。

仕事の面でも家族の面でも、日曜日は家族と

一緒にいるというのは力になりました。

また教会に行って、一週間について振り返る

ことで頭の中をリセットすることができた

ことは大きかったです。

 

ーいままで経験した困難TOP2は?

それぞれどのように乗り越えましたか?

1番目は40代くらいに急に気持ち的に

落ち込んでしまった時期です。

まわりがすべてグレーに見えて、

仕事もなにかも嫌になってしまいました。

家を持ち、家族も仕事も順調だったけれど、

重い気持ちがありました。

何が原因か分かりませんでした。

ボランティア宣教師時代は何も持って

いなかったけど本当に幸せでした。

何が違うか考えていると、

わたしが大切にしているモルモン書を読む

時間が短くなっていたことに気づきました。

「ほぼずっと相場を見てるから時間はない」

と少し抵抗しましたが、電車にのっている間、

毎日1時間読むようにしました。

するとその1年の投資成績はみるみる良く

なりました。自分に足りなかったのは

「心の栄養」でした。

 

2番目は「自分の為に働いて欲しい!」と

言われて行った先で、急に先方の気が変わり

契約解除されたことです。

ITバブルがはじけたことで雇用が冷え込み、

1年半、仕事がありませんでした。

「誰にも必要とされないんじゃないか。」

という心理的な焦りがありました。

さらに妻が「ライム病」という病気に

かかってしまいました。

病気の為に、起き上がることのできない日々

が続き、出口が見えませんでした。

その代わり、今までできなかった子供と

時間を持つことができました。一緒に芝刈り

をしたり、リトルリーグのコーチをしたり

していました。

「子どものためにがんばらなきゃ」

という思いが支えてくれました。

その後、ブルース・カブナーのヘッジファンド

に入ることができました。昔の仲間が

誘ってくれたおかげです。仲間を大事に

してきて、本当に良かったと思いました。

 

 

ー成功の秘訣は何ですか?

永野氏:謙虚な努力と親切ですね。

 

自分がどんなことをして価値を加えることが

できるか考えれば、おのずと足りないことが

見えてきます。人間は努力すればいろいろな

ことができるようになります。地道ですけど、

それしかないと思います。自分の得意なことを

見つけることも大事ですね。得意なことを

活かして、助けていれば必ず必要とされます。

ポートフォリオマネージャーは、1人では

できません。ネットワーク、つまり友人が

とても大切です。謙虚な努力をしていて

親切な人のもとには人は集まりますよね。

 

 

ー次世代の若者へのメッセージ。

永野氏:「世は満ち足りて余りある」

悲観論はどうしてもあるけれど、

いまここにいるのは幸せになるためです。

いつの時代に生まれても、

満ち足りた人生は送れます。

勇気を持って正しい選択肢を選び、

幸せになってください。

 

<まとめ>

謙虚な努力+親切=成功

 

次回、「成功への道」につづく。