【MBA】教授インタビュー
今回はマクドナルドやアップルで
マーケティング・コミュ二ケーション
ディレクターとして大活躍、
次世代育成に努める教授にインタビュー。
としても、ブランディング戦略
コンサルティングで活躍中。
河南順一教授
<学歴>
<勤務歴>
- 日本マクドナルド
- アップルジャパン
- すかいらーく
- サン・マイクロシステムズ
- モービル石油
<専門>
- マーケティングおよびマーケティング・コミュニケーション(ブランド・広告宣伝・イベント・インターナルコミュニケーション・マーチャンダイジング)
- 危機管理
- 社長室
経営困難の中、企業再生に尽力。
アップルの" Think different"戦略の展開、
マクドナルドのCEOコミュケーション担当。
ブランド再生や企業イメージ改善の専門家。
<著書>
ここから学べるMBAの原則
- リーダーシップ(次世代リーダー論)
<結論>
好きでたまらないことを極め、
応用することが成功への鍵
<インタビュー>
ー自伝を書くとしたらタイトルは?
河南教授(以下、河南):「最高の自分になる 」
で、「七人の侍」に出てくる五郎兵衛を
イメージしています。
実力は中の下だが、正直な面白い男。
その男と話してると気が開ける。
苦しい時には重宝する。
私自身は主人公のように「バーン!」と出る
タイプじゃないです。縁の下の力持ちでも
何かのかたちで貢献する姿が、自分に近いと
思ってます。
もちろん自分が理想とする人がいて、こんな感じになりたいと思うことはありますけどね。
結局、人のマネをしても自分の良さというか、
強さというかはあまり出ません。
自然体でなんとかやりながら頑張るのが、自分
のスタイルに一番合っていると思っています。
ー座右の銘や好きな言葉は?
河南: ”Standing for something”
ゴードン・B・ヒンクレー
信条とか信念とか、自分の信じるものを
しっかりと持っておくことがすごく大事
だと思っています。
何を選択するかの一番の決め手は何に
”Standing for something"しているかです。
実際は安易な選択をしてしまうことが山ほど
あるんですけどね(笑)
大小を問わず、信念に沿った選択をすることが
すごく大事です。
ー思わず時間を忘れて夢中になるものは?
河南: オフロードバイクとマウンテンバイク!
マウンテンバイクは今も持っていて、毎日
2回くらい乗ってます(笑)
オフロードバイクは売ってしまいましたが、
16歳の時に免許をとったことが、人生に大きな
影響を与えたと思っています。
あとはフィルムメイキング/動画の撮影と編集。
元々映画が好きで、学生時代は友達とよく
観に行きました。そこから監督に憧れるように
なりました。アップルでiMovieが実装されて、
マーケティングをやっていたこともあり、
「これからは動画の時代だ!」
とイベントやセミナーでも触れ回っていて
自分も編集に夢中になりました。
「これからは自分の世界がつくれる」みたいな
ことを考えていましたね。そこから自分の
好きな映画と仕事がつながっていったような
気がします。
ーミッションは何ですか?
河南: 人々の「最高」を引き出すことです。
IT業界は浮き沈みが激しいので、みんなが
疑心暗鬼なったり、互いに不信感を持ったり
することが多いです。
そんな中でチームをひとつにまとめることは
すごく大変でした。そこで学んだのは
「誰も欠点がない人はいない」ということ
です。だから人の持っている「良いところ」を
見つけて引き出し、他の人の「良いところ」
とうまく融合させていくことが大事です。
これが得意な経営者が会社を立て直すところを
見てきたので、それに習うところがあると
思います。
ーミッション達成に向けて取り組んできた
こと、また現在取り組んでいることは?
河南: 相手に気づかせるコミュニケーションを
心がけて、相手の「最高」を引き出せるように
してきました。
コミュケーションのノウハウを教えています。
あとはブランドを強化したい企業の
コンサルティングを通して、「最高」を
引き出す魅せ方や発信方法をアドバイス
しています。
ーいままで経験した困難TOP2は?
- アップルが倒産寸前になり、リストラを含めた抜本的な改革が必要だった
- マクドナルドが2014年に期限切れチキンが食材として使われたとする「食の安心」の問題(実際には日本では使われなかった)や2015年の異物混入に関する「食の安全」に関する報道の影響で上場以来最大の赤字を出した
当時はなんでアップルにいるのか、
なんでマクドナルドに戻るのかと尋ねられて
答えられませんでした。ロジックでは説明
できないものがそこにありました。
結果としてはそれがすごく良い経験になって
います。結果が見えた今だからそう言える
わけですけど、当時は本当に大変でした。
ーそれぞれどのように乗り越えましたか?
河南:「これを、最高のものにしてみせる」と
宣言して乗り越えてきました。
「ちょっとこれは難しい」
「これは無理だなぁ」
とか思ったときにまず自分に言い聞かせる必要
がありました。尻込みしないように宣言して
いたわけです。
マクドナルドが一連のチキン食材や異物混入の
報道で、徹底的にメディアからバッシング
されたときに、CEOコミュニケーションの統括
でした。なんとか状況を打開するために、
いつもチームには「最高のものにしよう!」と
自分にも周りにもはっぱをかけ続けることで、
気持ちが萎えないようにしてきました。
ーいちばん支えになったことは?
河南:妻が「あなたならできる」と言い
続けてくれたことですね。
困難な状況に尻込みをしていたところを、
背中を押してもらったりして、
「ちょっと頑張ってみようかな」と思うことが
できました。
2番目は「修羅場」をともにくぐった仲間の
存在です。「修羅場」ではその人の本性が
見えてきますよね。あからさまに保身に走る人
もいるし、腹をくくって「やろう!」と
言ってくれる人もいます。
後者の人と一緒にやれば間違いないというか、
任せて大丈夫という信頼があります。
もし結果がダメだったとしても、すごく信頼で
きる人が見つかったことが財産になりますし、
結果を受け入れることが容易になります。会社
が変わってもそういう関係はずっと変わりませ
ん。そういう関係は物事が順調に進んでいる中
では、なかなか見えません。追い詰められた
ときに誰を頼りにするべきかを知っているのは
すごく心強いものです。
ー成功の秘訣は何ですか?
河南:やるべきことを「パーツ」か
「ステージ」に分解して、それぞれについて
瞑想し、考え、祈り、取り組むことです。
すべてのメディアがマクドナルドについて
ネガティブな報道をしていたときは、とても
乗り越えられないような大きな問題に
見えました。そこで問題を細かく分解して、
小さな問題ひとつひとつに全力で挑んで
いきました。そうすることによって少しずつ
状況を変えていくことができました。
人生は自分の思い通りになりません。むしろ
望むことと反対のことが起きることが多い
です。うまく行きそうにないことやチャレンジ
にぶつかったときは、この方法がとても役に
たちます。ちなみに、私が成功したかというと
そうではなく、むしろ失敗ばかり…。でも
すごく恵まれた人生だと思います。
ー次世代の若者へのメッセージ。
河南:好きなことを見つけて極めてください。
どう応用できるかを考え、行動してください。
好きなことを見つけて、それを仕事にすること
はそれはそれでチャレンジはあります。
とにかく自分のやっていることをいろんな
かたちで好きになる方法があるはず。それを
見つけることがすごく大事だと思うんです。
もうひとつは自分の土俵で戦うことです。
不得意なところは、それが得意な人とチームを
組んでまかせればいいんです。スティーブ・
ジョブズはこれがほんとにうまかった。
彼が万能だったわけではなく、すごい才能を
持っている人を組み合わせられることが彼の
強みでした。リーダーにはこの資質が求められて
いると思います。しかし彼はエキセントリック
でしたので、反感を持つ人も多かったです。
で好きでたまらない思い」からです。それを
知った人たちは「自分もそれを支えたい」
「一緒にやれば、自分にもすごいことが
できる!」という気持ちになっていきました。
そこからイノベーションが生まれたのです。
<まとめ>
好きでたまらないことを極め、
自分の土俵で戦うことが、
イノベーションを生む!
次回、「マーケティング基礎①」につづく。